為替レートを計る物差し?「相対的購買力平価説」とは?

投資の初心者
すみません、投資の関連用語である『相対的購買力平価説』について教えてください

投資研究家
はい、確かに『相対的購買力平価説』は、2国間の為替レート決定に用いられる理論ですね。それは、2国間のインフレの差が為替レートに反映されることを示唆しています

投資の初心者
なるほど、つまり、一国のインフレ率が高い場合、その国の通貨の価値は低下し、他の国の通貨に対する購買力が弱くなるということですか?

投資研究家
その通りです。相対的購買力平価説は、為替レートをインフレ率に基づいて予測するための理論としてよく用いられています
相対的購買力平価説とは。
経済用語「購買力平価説」では、2国間の物価上昇率の差に基づいて為替レートを算出します。
相対的購買力平価説ってなに?

相対的購買力平価説とは、為替レートの長期的な均衡値を推測するための経済理論です。この理論によると、異なる国の通貨間の為替レートは、両国の同じ商品が同じ価格になるように調整されるべきだとされています。つまり、為替レートは、両国の購買力の相対的な差を反映するべきです。
なぜインフレ格差から為替レートを推計できるの?

「相対的購買力平価説」によると、為替レートは異なる国における同じ商品やサービスの価格差を反映しています。つまり、インフレ率が異なる国では、より高いインフレ率の国では通貨価値が低下し、より低いインフレ率の国では通貨価値が上昇します。
例えば、日本とアメリカで同じテレビが日本円で100,000円、アメリカドルで1,000ドルで販売されているとします。このとき、為替レートが1ドル=100円であれば、購買力平価説が成り立っています。しかし、日本でインフレ率が5%上昇し、アメリカが2%上昇した場合、同じテレビが日本では105,000円、アメリカでは1,020ドルになります。このとき、為替レートを維持するには、1ドル=103円に値上がりする必要があります。これが、相対的購買力平価説が、インフレ格差から為替レートを推計できる理由です。
どうやって計算するの?

相対的購買力平価説に基づく為替レートの計算方法は、2つの国の同じバスケット(一連の商品やサービス)を購入するために必要な通貨量を比較することです。このバスケットには、両国の人々が必要とする基本的な必需品が含まれます。バスケット内の商品の価格をそれぞれの国の通貨で算出し、それらの合計金額を比較します。
例えば、日本とアメリカでバスケット中の商品を購入する場合、そのバスケットが日本で1万円、アメリカで100ドルの場合、その時点の為替レートは1ドル=100円ということになります。これは、両国で同じバスケットを購入するのに同じ相対的な購買力が必要であることを意味します。
相対的購買力平価説のメリット・デメリット

-相対的購買力平価説のメリット・デメリット-
相対的購買力平価説(PPP)のメリットとして、経済学者の中には、PPP が通貨価値を評価する簡便で便利なツールになると考える者もいます。異なる国で同一の商品が同一価格で販売されている場合、その国の通貨の購買力は等しくなると PPP は示唆しています。また、PPP は為替レートの決定において基礎的な役割を果たし、為替レートが市場均衡に近づく場合にその予測に役立てることができます。
ただし、PPP のデメリットも指摘されています。実際には、国によって同一の商品価格が著しく異なることがよくあります。これは、輸送コスト、規制、税制などの要因によるものです。こうした要因により、PPP は必ずしも為替レートを正確に予測できないものになっています。さらに、PPP は短期的な為替レート変動を説明できない場合もあり、その予測力は限定的です。
実際の為替レートとの乖離はなぜ生じるの?

実際の為替レートと相対的購買力平価説に基づく為替レートの乖離が生じる原因は複数あります。
最も一般的な原因は、生産性の違いです。ある国の生産性が高い場合、同じ商品やサービスをより低コストで生産できます。したがって、その国の通貨は、より低い購買力平価を反映した価値で取引される可能性があります。
別の原因は、貿易障壁です。関税や輸入割当などの障壁は商品の価格を引き上げ、購買力平価の歪みにつながります。
また、金融市場の要因も役割を果たします。投機的な取引や金融危機は通貨の価値変動を引き起こし、購買力平価から逸脱させる可能性があります。
さらに、政府の政策も影響を与えることがあります。政府が通貨の価値を低い水準に抑える政策を導入すると、購買力平価よりも低い為替レートにつながります。
