確定給付型年金における給付減額とは？

確定給付型年金における給付減額とは？

給付減額とは何か?

確定給付型年金における給付減額とは、年金制度の運用や経済状況の変化により、当初予定されていた年金額が減額されることを指します。具体的には、積立金が不足した場合や運用不調が続いた場合などです。給付減額は、年金受給者にとって収入の減少につながるため、深刻な影響を与える可能性があります。

条件や要件

給付減額が行われる条件や要件について詳しく見ていきましょう。減額は、さまざまな要因に基づいて決定されます。まず重要なのは、企業の運用実績です。運用実績が悪く、年金原資が予定より少ない場合、給付額を減額する可能性があります。

次に考慮されるのは、企業の財務状況です。企業が財務的に困窮しており、年金原資を維持できない場合は、給付額を減額せざるを得ない場合があります。また、年金制度の設計も給付減額に影響します。例えば、企業が採用している給付水準が現実的ではなく、年金原資の持続可能性が低い場合、給付額が減額される可能性があります。さらに、年金法や会社の定款などの法的要件も、給付減額の条件や要件を規定していることがあります。

厚生年金基金と確定給付企業年金

-厚生年金基金と確定給付企業年金-

確定給付型年金は、厚生年金基金や確定給付企業年金など、さまざまな制度を通じて提供されています。

厚生年金基金は、企業が従業員の年金制度として加入する団体です。厚生年金基金に加入することで、企業は従業員に厚生年金に上乗せして給付金を支給することができます。この上乗せ分の給付金を「付加年金」といいます。付加年金は、厚生年金と同じく確定給付型であり、従業員が退職時に受け取る給付金の額が事前に決められています。

一方、確定給付企業年金は、企業が独自に設立する年金制度です。企業が自社の従業员に対して、厚生年金を補足する形で給付金を支給します。確定給付企業年金も確定給付型であり、給付金の額は企業が決めます。ただし、企業の財務状況によって給付額が減額されるリスクがあります。

既得権・期待権への配慮

確定給付型年金の給付減額は、既得権や期待権に配慮して行われる必要があります。既得権とは、年金制度の加入者としてすでに取得した年金給付の権利です。期待権とは、加入者が将来取得する予定の年金給付の権利です。給付減額は、これら既得権や期待権を侵害しない形で実施する必要があります。そのため、給付減額が実施される際には、加入者の同意が得られたり、十分な移行期間が設けられたりする場合が多いです。これにより、加入者は給付減額の影響に対処し、将来の年金生活を計画する時間が確保されます。

給付水準低下の原則

確定給付型年金の「給付水準低下の原則」とは、年金基金の資産価値が低下した場合に、年金給付額が従来より低減されるという原則です。これは、年金基金が運用で損失を被り、年金給付に必要な資金が不足した場合に、加入者や受給者に負担がかかることを防ぐための措置です。

給付水準の低減は、年金基金の資産運用成績や加入者の加入期間など、さまざまな要因によって異なります。加入期間が長いほど、年金基金の運用実績が良好なほど、給付額の減額幅は小さくなります。一方で、加入期間が短く、年金基金の運用成績が低迷した場合には、給付額の減額幅が大きくなる可能性があります。