退職給付会基準における給付算定式基準とは?
投資の初心者
先生、『給付算定式基準』って何ですか?
投資研究家
『給付算定式基準』とは、退職給付債務を計算するときに、退職給付見込額を各勤務期間にどう割り振るかを決める方法の一つだよ。
投資の初心者
なるほど。各勤務期間に割り振った給付が、退職給付債務になるってことですか?
投資研究家
基本的にはそう。ただし、勤務期間の後期に給付額が大幅に上昇する場合(バックローディング)には、均等に発生すると見なして補正する必要があるよ。
給付算定式基準とは。
退職給付金制度で退職給付債務を計算する際に、退職が予想される金額を期間ごとにどう割り当てるかという「期間帰属方法」の中で、「給付算定式基準」とは、退職給付制度の計算式に基づいて各勤務期間に割り当てた給付の合計額を、それぞれの期間の発生額と見なす方法です。
ただし、勤務期間の後半になって給付金が大幅に増加する場合(バックローディング)、その期間の給付金は均等に発生しているとみなし、補正した給付算定式を使います。
日本ではこれまで「期間定額基準」が主流でしたが、2014年4月1日以降の事業年度からは、「期間定額基準」と「給付算定式基準」のどちらかが選べるようになりました。
給付算定式基準の概要
退職給付会基準における給付算定式基準とは、企業年金において給付額を算出する際の計算方法を定めた基準です。この基準は、企業年金の安定的な運営を確保し、受給者の給付水準の公平性を図ることを目的としています。給付算定式基準では、給付額を、加入期間、平均給与、掛金率などの要件に基づいて計算するように定めています。これにより、給付水準が加入者間の公平性を保ち、企業年金の健全な運営が確保されることが目指されています。
給付算定式基準のメリット
退職給付会基準における給付算定式基準は、企業が従業員に提供する退職給付金の額を算定するための基準です。この仕組みでは、従業員の勤続年数や給与などの要素に基づいて、将来の給付額が計算されます。これにより、企業は従業員に一定かつ予測可能な給付金を提供できます。給付算定式基準には以下のようなメリットがあります。
給付算定式基準のデメリット
給付算定式基準のデメリットとして挙げられるのは、給付水準の低下が大きいことです。給付算定式基準では、標準報酬月額や在職期間などの要因に基づいて給付額が算定されますが、その計算式は年金制度全体における財政収支を考慮したものになっています。そのため、制度の財政状況が悪化すると、給付額が引き下げられる可能性があります。実際、2004年に年金制度改革が行われた際には、給付算定式基準に基づいた給付額が大幅に引き下げられました。
給付算定式基準のバックローディング補正
-給付算定式基準のバックローディング補正-
退職給付会基準では、長期にわたって給付が低い水準で固定されている年金制度において、給付水準を後年に引き上げることを防ぐための対策が講じられています。これを「バックローディング補正」と呼びます。
この補正は、給付算定式基準に規定されているパーセンテージを適用することで実施され、将来の給付水準を抑える効果があります。具体的には、将来の給付水準が特定の基準値を超えた場合、バックローディング補正を適用して給付水準を低減させることになります。
バックローディング補正は、将来の債務負担の増大を防ぎ、年金制度の持続可能性を確保することを目的としています。ただし、給付水準の引き上げに制限がかかるため、加入者の福利厚生の向上を図る際に考慮する必要があります。
期間定額基準との比較
期間定額基準との比較
退職給付会基準の給付算定式基準は、期間定額基準と併用することができます。期間定額基準は、退職までの在職期間に基づいて給付額を計算するのに対し、給付算定式基準は、在職期間に加えて給与水準も考慮して給付額を決定します。
したがって、給付算定式基準を採用すると、期間定額基準より給付額が高くなる可能性があります。ただし、退職時の給与水準が低い場合や在職期間が短い場合など、場合によっては給付額が低くなることもあります。
また、給付算定式基準により給付額が変動するため、企業としては将来の給付債務を正確に算定することが困難になるおそれがあります。そのため、給付算定式基準の採用については、慎重に検討する必要があります。