期待インフレ率とは？投資に欠かせない概念を解説

期待インフレ率とは？投資に欠かせない概念を解説

期待インフレ率とは

-期待インフレ率とは-

期待インフレ率とは、投資家や企業が将来の一定期間のインフレ率を予測するものです。つまり、この期間中に物価がどれほど上昇すると予想しているかを表します。期待インフレ率は、インフレ期待と呼ばれることもあります。期待インフレ率は、投資戦略を立てる上で重要な概念です。というのも、インフレは投資リターンの価値に影響を与えるからです。期待インフレ率が高ければ、投資リターンはより価値が低くなる可能性があります。

期待インフレ率の測定方法

期待インフレ率を測定するには、主に2つの方法があります。

1. 市場ベースの方法 これらは、金融市場の取引価格に期待インフレ率が織り込まれているという考えに基づいています。最も一般的な方法は、さまざまな満期日の国債の利回りを比較することです。より長い期間の債券は、より低い利回りで取引される傾向があり、これは投資家が長期的にインフレ率の上昇を予想していることを示しています。

2. 調査ベースの方法 これらは、人々や企業に直接、インフレ率に対する見通しについて尋ねます。最もよく使用される調査の一つは、連邦準備制度理事会（FRB）によるミシガン大学消費者信頼感指数です。この指数は、消費者が今後1年間に期待するインフレ率を測定します。

期待インフレ率の重要性

期待インフレ率の重要性は、投資における意思決定において重要な役割を果たします。なぜなら、インフレ率が期待を超えた場合、投資価値が目減りしてしまう一方で、期待を下回った場合は投資収益が得られる可能性があるからです。投資家は、期待インフレ率を考慮することで、投資から合理的なリターンを期待できます。

また、期待インフレ率は、中央銀行の利上げや利下げのタイミングを予測するのにも役立ちます。中央銀行はインフレを抑えようと金利を引き上げ、経済を刺激しようと金利を引き下げます。投資家が期待インフレ率を把握していれば、金利変動を予測し、それに応じて投資戦略を調整することができます。

投資への影響

投資における期待インフレ率の影響は重大です。期待インフレ率が高い場合、投資家はインフレによって資産価値が下落するリスクを懸念します。そのため、インフレに強い資産、例えば金やインフレ連動債に投資する傾向があります。

一方、期待インフレ率が低い場合、投資家は資産価値が上昇する機会を捉えることができます。これは、インフレによって名目金利が上昇し、資産のキャッシュフローが増加するためです。そのため、投資家は株式や不動産などの成長性の高い資産に投資する可能性が高くなります。

さらに、期待インフレ率は債券市場にも影響を与えます。期待インフレ率が高くなると、債券の価値は下落します。これは、債券の利払いが固定されているため、インフレによって実質価値が低下するからです。そのため、投資家はインフレに連動して利払いが変動するインフレ連動債に投資する傾向があります。

実例

実例

期待インフレ率の具体的な例を見てみましょう。日本銀行が2023年4月に公表した「経済・物価情勢の展望」によると、2023年度の消費者物価上昇率（除く生鮮食品）は前年比2.3％、2024年度は前年比1.8％と予想されています。この場合、2023年度の期待インフレ率は2.3％、2024年度の期待インフレ率は1.8％ということになります。つまり、市場では、この期間中に物価がそれぞれ約2.3％、1.8％上昇すると予想されているのです。